千年の杢−木の質感を生かした器

刃物を作る−木地師の基本

鍛造1送風機で木炭を1200度くらいまで熱する

木地師が木地師たる基本として、火造りによる刃物の製作があります。台鉋はそれをつくり販売する業者がいるのに、轆轤鉋をつくる刃物業者はいません。もともと木地師が山々を移動して制作活動していたためかもしれませんし、轆轤鉋があまりに特殊な工具で使い手によって形状がそれぞれ違うため規格化できなかったためかもしれません。

鍛造2金床の上でハイス鋼の無垢棒を鍛造する

火造りとは、炉を使い、金棒を熱してたたき、刃先を仕上げることです。鍛造ともいいます。私はカンジャ(鍛冶屋)と言っています。制作頻度にもよりますが、年に1回するかどうかという頻度でしょうか。轆轤鉋は使い込むうちに、鉤状の刃先が欠けたりして使えなくなります。鍛造を繰り返した棒は、どんどん短くなります。

鍛造3グラインダーで形を整え再加熱し鍛造

金棒はハイス鋼(高速度鋼)の無垢棒です。台鉋の刃よりも硬い工具鋼です。私はハイス鋼でもV種を使っていますが、さらに硬いW種を使う挽物師もいます。刃物は硬ければ良いというものではなく、鍛造のしやすさや研ぎやすさというのも大切な要素です。V種かW種かは好みというべきものです。木炭で火をおこし、1200度前後に熱します。少し大きめのハンマーと金床を使い、熱した金棒の先をまむしの頭のようにつぶし延ばします。

刃物基本的な刃物は数少ない

冷めるとグラインダーで形を整え、再度熱して、鉤状に曲げるのです。急冷して焼きを入れる人もいますが、私は自然冷却です。そして最後にグラインダーで刃先を仮につけ、研ぎを待つばかりの状態にします。本職の鍛冶ほどではありませんが、10数本の鉋を仕上げるのに2〜3時間ぐらいでしょうか。私は、刃物に凝るタイプでないので、基本的な刃物はこの轆轤鉋(別名ぜんまいがんな)と薄刃だけです。

<<前のページ次のページ>>

2004-2005©TANAKA Masao,All rights reserved.